Dawn Torpedoing ( Test Play)
Dawn Torpedoing !
Report of TestPlay Rounds ”従軍牧師戦記”
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私の名前は fake 牧師。
教区は TF18 空母スワニー艦内。
私は直接戦闘に携わらなかったものの、あの時、あの場所で
彼らの戦いの一部始終をこの目に焼き付けた者の一人だ。
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夜が明けてから、もう何波めの敵襲警報になるのだろうか。
迎撃を続ける米軍将兵の顔にも疲労の色が濃くなってきた。
間断なく戦闘機隊は頭上を飛び回り、甲板上のクルーは休む間も
ない。間断なく発艦機が飛び立ち、着艦機を迎え入れる作業が続く。
水兵たちといっしょになって被弾機の消火作業を手伝っている所へ
敵襲の報がもたらされた。皆が指す方角の空をじっと目を凝らす。
すると薄くたなびく雲のように一群となった小さな機影が水平線上に
唐突に現れた。今度の敵は私にも見える……
彼らはふたたびやってきたのだ!
艦隊の高射砲群が轟音をあげ、ポツポツとまだらに黒煙の花が
空中に咲いた。G4Mの群れはその黒煙の層を潜るようにして
超低空で接近してくる。そういえば誰かが言っていたが、彼らは
高射砲は艦の水平面+9度までしか下がらないという先入観を
持っているそうだ。それが事実かどうかは聖職にあるこの身には
わからないことだしどうでもよいのだが、なぜか気にかかる。
戦闘機隊がG4Mに追いすがって火線を浴びせている。何機もの
G4Mが炎の塊となって海面に突っ込んだ。味方の高射砲が彼らに
あたらないかと気をもむ。あそこには敵戦闘機もいるのだろうか。
その大混乱の空域から射点後逸によるやりなおし雷撃と思われる
数機のG4Mが低空で離脱していくのが見えた。妨害成功か?
続いて海面に数条の白い水柱が立ち昇る。あっ。なにごとだ?
” 4 waves coming !”
隣の水兵が叫ぶ。しかし私には魚雷がどこにあるのか見えない。
” No Good Abort Landing! Wave Off!”
LSOが狂ったように旗を振っている。着艦は中止されアプローチ中
の機体が無情にも追い払われた。うらめしそうな被弾機が機首を
持ち上げ、煙を吐きながらよたよたと去っていく。誰の機だろう。
” Hard Starboard ”
艦橋のスピーカーからtukiyo提督の朗々たる声が響き渡る。
急速左回頭と聞いて私は銃座の装甲版の裏に転がり込んだ。
そこには先客がいた。先ほど空中から降りてきたばかりのsink中尉
が姿勢を低くしてうずくまっていた。このクラスの大型艦になると実際
に舵をきりはじめてから急速回頭になるのに2分くらいはかかる。
これが何とも言えない嫌な時間なのだ。ヘルメットを締めながら二人
で顔を見合わせる。sink中尉は胸の前で十字を切ってみせ、笑った。
突然、背中ごしの銃座が一斉に火を噴いた。火線の先には40mmと
12.7mmの錯綜する激しい弾幕の中を果敢に突撃してくるG4Mがいた。
その無謀さに戦慄し、その迫力に圧倒される。全身が凍りついた。
記録映画の中の出来事のように、奇妙な現実喪失感を漂わせながら
そのG4Mはスワニーの500yard手前で片翼を失い、よろけながら
甲板のギリギリ上をかすめて通りすぎたところで爆発、四散した。
一瞬の出来事にカメラをかまえる暇もない。燃えるガソリンの塊と
なってゆっくりと回転しながら海上に落ちていくG4Mの胴体。
あれが雷撃機の炎の墓標なのか。十字すら切れず、ただ呆然と見送る。
続いてカン高いスクリュー音とともに見る間に雷跡が接近してくるのが
見えた。sink中尉に引きずり倒されるようにして私はその場に身を伏せる。
tukiyo提督の絶叫が響き渡った。
……神よ!
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戦後になって日本軍の公刊資料を調べる機会があった。
そこにはこれらレンネル島沖で戦ったG4M隊の記録も散見された。
そして、その中から私は以下のような一文を発見した。
「qwed隊長機、雷撃後 敵空母艦橋に壮烈なる体当たりを敢行。自爆す」
たぶんあのやりなおし雷撃を成功させたG4Mのことだろう。
実際にはスワニーの艦橋に体当たりした機体はなかったのだが、あの
激しい戦いの中からこのような報告が出てくるのは不思議なことでない。
この文面は士気高揚を狙ったものかもしれない。死んでいった者への
感傷がそう書かせたのかもしれない。それとも後に起きたあの忌まわし
いカミカゼ攻撃の呼び水となることを狙ったのかもしれない。おそらく
単なる誤認であったろうとは私は思う。その解釈は人によって様々だ。
しかし、あのG4M隊の突撃が、まさしく体当たりとも言っていいほどの
強烈な攻撃精神を発揮したのは疑いようもない事実だ。
私は知っている。
歴史がなんと記そうとも、あそこには恐るべき闘志と技量をもった敵が
確かにいたのだ。そして我々は彼らの攻撃に敢然と立ち向かい、つい
にはこれを全て撃退したのだ。
戦後になっても、レンネル海戦に参加した米パイロットたちの間ではよく
あの時のことが話題にのぼる。そしてその隣で私は主に祈りを捧げる。
そう。それは実際にあの戦いに参加した者にしかわからないことなのだ。
<終>