《tuki少尉の手記》


元日本海軍パイロット tuki少尉の手記より抜粋
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私がメコン方面戦線の戦闘終了を知ったのは、前線の野戦病院の
ベットの上だった。

日本軍最後の総攻撃に参加したものの、慣れない99艦上爆撃機
での爆撃に失敗し、地面に墜落したのだ。
あれで助かったのは奇跡に近い。

日本軍は先週の総攻撃でF17基地を陥落させたものの、機体と
パイロットの損耗が激しく、補給の追いつかない我が軍は不利な
状況に追い込まれていた。

fafa司令が前線司令部のテントで激を飛ばす。
「F14基地を攻撃する!」
我々パイロットは全員身震いした。
ついに念願の敵本拠地攻撃を実施するのだ。

我々海軍は2隊の編成を行った。
快速で格闘性能に優れた零戦部隊と鈍重だが500lbを投弾できる
99艦爆の部隊だ。
私は99隊の編隊長に任命された。

払暁と同時にF7基地を離陸した。
一目散に22kまで上昇する。
私が先導機として先頭を飛ぶ。
操縦棹を握る手が汗で滑る。
情けない、俺とした事が緊張してやがる。

やがて遠くで爆発の閃光が目に入った。
F17基地が攻撃されている。
F14攻撃に全力を傾ける日本軍は、F17基地に最低限の守備
隊しか配置していない。
多分、F17守備隊は玉砕する事になるだろう。
しばらくすると、さらにF11でも火の手が上がった。
いよいよ日本軍は後戻りできない。
何としてもF14攻撃を成功させなければならないのだ。

高度22000ftに到達、水平飛行に移る。
コースを微調整しながらF14へ向かう。
眼下を零戦隊が加速しながら降下していく。
我々99隊は、零戦隊の30秒後に突入する予定だ。
「がんばってくれ」心でそう祈る。

時間がきた。
我々も突入を開始する。
降下しながら加速し、300mphを維持しながらF14へ迫る。
先行する零戦から「P38 alt15000」の無線が入った。
敵は防空隊をあげているようだ。
しかし、今更引き返すわけにはいかない。
目標に向かって突き進んだ。

私がF14上空に到達したとき、既に零戦隊の爆撃が始まって
いた。
燃え上がるack、飛び交う機体。
どれが敵か味方かわからない。
とにかく私は自分の割り当て目標を爆撃するだけだ。
西端のackが私の目標だ。
問題のackはまだ機銃を乱射している。
その時、fafa司令が自ら降下していくのが見えた。
次の刹那、西端ackは爆発し、沈黙した。

私は第2目標に目標を変える。
あらかじめ、99隊には第1目標と第2目標が割り当てられてい
た。私の第2目標は、基地中心の敵前線司令部だ。
爆撃コースに転進した所で、後部から銃撃音が聞こえた。
敵機が真後ろにいるらしい。
まだ撃たれてはいないが、後部銃座員が盛んに機銃を乱射して
いる。モタモタしている余裕は無い。
私は一気に高度を下げ、敵司令部に向かって突進する。
司令部には既に数発の爆弾が落とされていた。
しかし、直撃がないのか、周りに弾痕があいているだけだ。
また後部銃座が撃ち始めた。

「ナムサン・・・」
私はぎりぎりまで引き付けて500lbを投下する。
しかし、角度が悪い。
強引な爆撃で当たるわけがない。
だが、至近弾にはなったはずだ。
周りを見ると、F14はもうもうと黒煙をあげて燃えている。
俺がミスっても、誰かが破壊してくれるだろう。
やることはやった。

私は必死に機体を立て直そうとした。
しかし、高速でギリギリまで降下したため、あとわずかで引き
起こしに失敗した。
99の丈夫な足が折れ、羽がもげる。
天地が逆さまになった。
そのまま私は気を失った。

私が墜落した直後にF14は陥落したらしい。
誰かが無線で「F14 CLOSE land land!」と叫んでいる。
あの声は誰だったのか、ひょっとすると俺が無意識のうちに
叫んでいたのかもしれない。

私が助かったのは、意外にも基地上の敵兵士のおかげらしい。
敵とはいえ同じパイロット、素直に感謝しよう。
それにしても、F14陥落の瞬間をこの目で見届ける事ができ
なかったのが残念だ。また、アメリカ軍パイロットのsy-cにも
復讐する機会が無かった。
私の時代は終わったのかもしれん・・・。
この時は、そう思わずにいられなかった。

私は現在、日本の大阪でのんびりと余生を送っている。
メコンで受けた傷が今でも時々痛むが、それもいずれ感じなく
なる時がくるだろう。
今でも空を見上げると、小型のセスナが飛んでいる。
飛行機を見るたびに思い返す。
私は確かにメコンの空を飛んでいたんだと・・・。
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月夜(tuki)